「最近、クライアントとのやりとりのなかでアート思考という言葉を聞くけれど、実際どのようなものなのだろう」
そのような疑問を持っている方も多いのではないでしょうか。
アート思考が本当にビジネスと関係あるのかどうかと考えている方もいるでしょう。
そこで、本記事では、アート思考はビジネスに必要なのかどうかということについて解説します。メリット・デメリットについても紹介していますので、アート思考について知りたい方はぜひ、参考にしてください。
アート思考とはアーティストが作品を生み出すときの思考法
アート思考とは、アーティストが作品を生み出すときの思考法です。
多くのアーティストと呼ばれる方々は、自分自身で問題提起をしてその答えとして作品を生み出します。アート思考をビジネスに利用する場合も同じ考え方です。アート思考は、ゼロの状態から何かを生み出す思考法になります。
そのため、既存の考え方に縛られずに自由な発想をすることができます。これまでにないユニークな商品やサービスを生み出したい場合に有効な思考法だといえるでしょう。
アート思考とデザイン思考の違い
デザイン思考は、アート思考がビジネスに取り入れられる前から利用されていた思考法です。アートとデザインということで同じような思考法なのではないかと考えている方もいるでしょう。しかし、まったく異なる思考法になります。
アート思考は自分自身を見つめ直して、そのなかから何か新しいものを生み出す思考法です。自由な発想をおこなえることによって、これまでにないユニークな商品やサービスをつくりだすことができます。
一方でデザイン思考は、お客様が求めているものを徹底して生み出すという思考法になります。お客様が潜在的に求めているものを追求して、お客様のことを第一に考えた商品やサービスをつくりだしていきます。
このように、アート思考は自分視点、デザイン思考はお客様視点というまったく別の視点からものづくりをおこなっていきます。
アート思考とロジック思考の違い
ロジカル思考は、ものごとを順序立てて整理して筋道を立てて、矛盾点をなくしていくという思考法です。一方でアート思考は、自由に発想することをテーマにしているため、正確さや効率性は求めていません。
また、ロジカル思考は課題そのものに対する解決法を示すものです。しかし、アート思考は、課題を設定してからその課題に対して解決策を発想していきます。このように、アート思考とロジカル思考は正反対の思考法になります。
アート思考はなぜビジネスに必要なのか
現在は、IT業界の進化も急激に進んでいます。それにともなって、ビジネスでも急激に変化が起こっています。これまでのビジネス経験だけでは新しい進化に対応できず、他の企業との差別化もできません。
今後はビジネスにおいてもオリジナリティやイノベーションが重要になるといえるでしょう。現在は、AIという優れたものも登場しています。しかし、アート思考を用いることは人間にしかできません。
人間の感性をアート思考によって具体化することで、ビジネスシーンにも役立ちます。
実際に欧米では日本よりも早くビジネスにアート思考を導入しています。その結果、これまでの市場には生まれなかったユニークなサービスや商品を生み出すことができました。
また、アート思考を養ううえで実際のアートに触れる機会を増やしている企業も多いです。今後は日本においても、アート思考を導入する企業が増えてビジネスにもオリジナリティが求められることが予想されます。
アート思考のメリット
アート思考では、もともとのビジネス経験や知識、データなどを利用せずに自分自身のなかで思いついた問題提起やアイデアを抽出していきます。それをさらに深堀りして、また自分自身のなかで模索していくということを繰り返すかたちです。
これらの作業を繰り返すことで今まで市場にはなかった商品やサービスが生まれやすくなります。現在の市場は同じような商品やサービスで飽和状態なので、ビジネスにとってもアート思考は大きなメリットになるでしょう。
アート思考のデメリット
アート思考は、それぞれの人のなかにある独自の考え方やアイデアを抽出していく思考法です。チームでものづくりをおこなう場合はそれぞれの意見を合わせて1つのものをつくらなければなりません。
しかし、アート思考だと個人の考え方に依存するのでチームのなかで考え方を合わせるのが難しいというデメリットがあります。さらに、アート思考で抽出されたアイデアは言葉で説明しにくく、チームの人になかなか理解されにくい傾向にあるでしょう。
何度も綿密に打ち合わせをおこなわないと、1つのものづくりが完結しません。
アート思考の進め方
アート思考を進めていくうえでポイントとなる項目は、おもに下記の3点です。
- 自分が興味のあることに目を向ける
- 自分の考えを深掘りする
- 自分の考えを客観的に見直す
それぞれ順番に解説します。
自分が興味のあることに目を向ける
まず、アート思考では今まで当たり前だと感じていたことや、自分が興味のあることに対して目を向けることから始めます。この段階では特に結論は求めず、興味のあることに対してどのように感じているのか自分自身に自問自答してみましょう。
自分自身のなかから出てくる疑問点や興味を抽出することが大切です。
アート思考の根本は自分自身の興味、関心などの自発的動機にあるからです。
自分の考えを深掘りする
自分が興味のあることに目を向けられたら、つづいては自分自身のなかの疑問点や興味を深掘りしていきましょう。思いついたことをすべて抽出して、自分自身に問題提起していきます。
疑問点や興味に対して1つずつ、なぜと問いただしていきます。そして、その問いの答えを必ず、言葉にして抽出しましょう。自分自身が思ったままに直感的に答えていくことが重要です。
自分の考えを客観的に見直す
そして最後は、自分自身のなかから出した答えを客観的に見直していきます。今まで当たり前だと考えていた答えと違う答えを導き出せたか改めて、見直しましょう。または、他の人の意見や評価を受けてみるのもいいかもしれません。
客観的な見直しを何度も繰り返して、自分自身の答えを見つけましょう。正しい答えを見つけ出そうとしてしまうと今までとなにも変わりません。自分なりの答えを見つけることが大切です。
アート思考の導入事例
こちらではアート思考を導入している下記の企業を2つ紹介します。
- 日本マイクロソフト
- NTTデータ
それぞれ順番に解説します。
日本マイクロソフト
日本マイクロソフトでは社員にアート思考を身につけてもらうためにArt Thinking Workshopを開催しています。新たなイノベーションを生み出すためのきっかけとしてアート思考について学ぶ機会を設けています。
日本のビジネスにおいても次々と新たな商品やサービスを生み出すことを目的としたプロジェクトです。
NTTデータ
NTTデータでは金融事業や社会基盤事業などさまざまな事業でアート思考を取り入れています。課題の本質を見抜いたり、課題に対する答えを表現するための力を見抜いたりする力を身につけることが目的です。
また、実際のアート作品やアーティストに触れる機会を設けたりすることもおこなっています。自分自身で課題を見つけてその答えを導き出すことでビジネスに発展させていこうという考えです。
まとめ:アート思考を用いてオリジナリティのある発想を
本記事では、アート思考は本当にビジネスに必要なのかということについて解説しました。
アート思考はビジネスにまったく結びつかないのではないかと思われがちです。しかし、アーティストのような独特な発想がユニークな商品やサービスを生み出せたりします。
さまざまな考え方によって今までにないものをつくりだすのが、今後のビジネスにおける課題といえるでしょう。
ぜひ本記事を参考に、アート思考をより深く学んでビジネスにおいてオリジナリティのある発想を目指してみてはいかがでしょうか。
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