暗黙知と形式知の違いとは?メリットや注意点についても解説|組織でナレッジマネジメントを定着させるための基礎知識

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暗黙知と形式知の違いとは?メリットや注意点についても解説

「最近、ビジネス上でナレッジマネジメントというワードをよく聞くが、暗黙知と形式知の違いがよくわからない」

という方も多いのではないでしょうか。

暗黙知と形式知の違いを理解できていないと、ナレッジマネジメントを効率的に実施することができません。

そこで、本記事では、暗黙知と形式知の違いについて詳しく解説します。

メリットや注意点についても紹介していますので、企業でナレッジマネジメントの実践を考えている方はぜひ、参考にしてください。

■あわせて読みたい:SECIモデルについてわかりやすく解説!活用事例や問題点も

暗黙知とは

暗黙知とは、個人の勘・経験・コツにもとづく言語化が難しい知識のことを指します。

最もイメージしやすいのが「職人技」と呼ばれるようなものでしょう。背中を見て育ち、経験によって培われた知識や技能は暗黙知に相当します。

また、他にも成績優秀な営業マンやアーティストやデザイナーまで優秀な人は職種にかかわらず、何らかの自分なりの暗黙知を持っているといわれています。

形式知とは

形式知とは、文章や資料、図解や数値などによって誰でも理解しやすいように形式的に表現された知識のことをいいます。

具体的にはマニュアルや資料、取扱説明書などが形式知に該当します。

暗黙知と形式知の違いは

確かに直感的な暗黙知と、論理的な形式知は考え方が異なります。

しかし、これらの考え方はバラバラに利用するものではありません。個人が持っている暗黙知をマニュアルや資料にすることによって、形式知に変換していくのです。

特にビジネスでは形式知化された暗黙知を活用することによって、業務効率や生産性をアップできると注目を集めています。

暗黙知を形式知化するメリットとは?

暗黙知を形式知化するメリットは、おもに下記の3点です。

  • 業務効率をアップできる
  • 社員教育の効率をアップできる
  • 業務のスムーズな引き継ぎができる

それぞれ順番に解説します。

業務効率をアップできる

ベテラン社員の知識や経験を形式知化して社内全体に共有できれば、社員全体の業務効率もアップできます。

これにより、最終的には企業全体の生産性向上にもつながります。また、知識や技術が蓄積してナレッジマネジメントが実践できるようになれば、すべての社員がいつでも知識を学習できる環境が整うでしょう。

ベテラン社員が知識や技術を形式知するための時間を割く必要もありません。さらに、社内にQ&Aとして知識が集まることになるので、問題点も迅速に解決できます。

社員教育の効率をアップできる

暗黙知をマニュアルや資料などに形式知化することで新入社員への教育も効率的におこなえます。

最近、OJTがeラーニングシステム化されているのも、これが理由でしょう。社員教育にかかる時間や場所などのコストもおさえられるため、社内の人事担当の負担も軽減できます。業務において重要なことを企業に入社した段階で学べるので、社員教育の効率アップが期待できるでしょう。

業務のスムーズな引き継ぎができる

暗黙知を暗黙知のままにしてしまうと、その業務は1人の担当者しかできない状態になってしまいます。しかし、暗黙知を形式知化してマニュアルや資料にしておくことで万が一、担当者が不在の場合でも他の社員がスムーズに対応できます。

暗黙知の形式知化は担当者が不在の場合でも業務効率を維持できるのはもちろんですが、将来的に企業の知識財産にもなるでしょう。

企業に形式知が必要な理由

企業に形式知が必要な理由は、おもに下記の3点です。

  • ナレッジマネジメントができる
  • 知識や技術を社内共有しやすくなる
  • 情報共有の効率化とコスト削減が可能

それぞれ順番に解説します。

ナレッジマネジメントができる

形式知が繰り返しおこなわれることによって、情報共有されたナレッジが社員全体に浸透して企業全体の生産性アップにつながるナレッジマネジメントができるようになります。

また、これにより普段の業務効率アップにもつながるでしょう。部署ごとの形式知も増えるので日々の業務やプロジェクトの方向性の決定の際に非常に役立ちます。

ナレッジが社員個人にとどまっていた場合と比べても格段に業務の円滑化を図ることができます。

知識や技術を社内共有しやすくなる

形式知が社内に浸透することで、高度な知識や技術を社内共有しやすくなります。

形式知が浸透しないと1人の担当者に依存することなり、業務効率も急激にさがります。形式知によって日頃から知識や技術を情報共有していれば、このようなさまざまなリスクを防止できるでしょう。

他にも、日々の作業品質の統一にもつながります。

情報共有の効率化とコスト削減が可能

形式知をためていって社員の誰もが確認できる状態にしておくと、情報収集が効率化します。

これにより、業務の進行方法や重要事項を担当者に質問しなくても作業を進められるので、手間とコストを削減できます。暗黙知として知識や技術を習得しようとすると多くの時間がかかってしまうため業務効率もさがり、社内教育も滞ってしまうでしょう。

暗黙知を形式知に変換しておけば日頃から知識や技術の学習ができるので、社内教育の質もあがります。

ナレッジマネジメントを実践する方法

企業においてナレッジマネジメントを実践する方法は、おもに下記の4点です。

  • SECIモデルの活用
  • 場(Ba)をデザインする
  • 知識や技術共有を積極的におこなう
  • リーダーが率先してマネジメントをおこなう

それぞれ順番に解説します。

SECIモデルの活用

ベテラン社員の暗黙知を形式知に変換するための方法として、SECIモデルの活用が挙げられます。

SECIモデルとは、暗黙知から形式知に変換する際のプロセスを段階ごとにまとめたものです。社員個人が蓄積した知識や技術を企業内で管理して社内全体で活用することを目的としています。

なお、SECIモデルにおける変換プロセスは下記の4つとなっています。

  • 共同化プロセス
  • 表出化プロセス
  • 連結化プロセス
  • 内面化プロセス

SECIモデルを活用して社内の形式知化を実施すると、社員個人の知識や技術を社内共有しやすくなるというのがメリットです。

SECIモデルについてわかりやすく解説!活用事例や問題点も

場(Ba)をデザインする

SECIモデルによる変換プロセスをより効率的に活用するためには、場(Ba)をデザインすることが大切です。

場(Ba)は、社内で新たな暗黙知や形式知が生み出されて企業全体で知識や技術の共有が活性化されることを指します。形式知を効率的に蓄積していくためには、場(Ba)を整えて社員が日頃から4つの変換プロセスを利用する必要があるでしょう。

なお、SECIモデルに必要な4つの場(Ba)は、下記の通りです。

  • 創発場
  • 対話場
  • システム場
  • 実践場

SECIモデルで形式知化のプロセスを、場(Ba)をデザインすることで環境を整えて効率的なナレッジマネジメントを目指します。

知識や技術共有を積極的におこなう

暗黙知を形式知に変換できても社内で効率的に活用できなければ意味がありません。そのため、継続的に知識や技術共有を積極的におこなう必要があります。

そのためには、共有をおこなってくれた社員に対して評価制度を設けたり、共有の流れをシステム化したりすることが重要でしょう。

リーダーが率先してナレッジマネジメントをおこなう

社内の形式知化を浸透させるためには、部署ごとのリーダーが率先してナレッジマネジメントをおこなう必要があるでしょう。

社内における形式知化の意識づけを継続的におこなうためにも、リーダーが中心となって情報共有を促していくことが大切です。リーダーはほかにもSECIモデルの推奨や場(Ba)のデザインなど、さまざまな角度から社内のナレッジマネジメントをおこなっていきます。

リーダー自身がナレッジマネジメントについてしっかりと把握したうえで、社員に納得してもらった状態で情報共有をおこなっていきましょう。

暗黙知を形式知化する際の注意点

暗黙知を形式知化する際の注意点は、おもに下記の3つです。

  • 社員への情報共有が難しい
  • 機能が多すぎるツールだと使いにくい
  • 音声や動画の活用も重要

それぞれ順番に解説します。

社員への情報共有が難しい

確かにナレッジマネジメントは企業としては非常に重要です。しかし、ナレッジマネジメントを実際におこなっていくのは各社員になります。

日々の業務に忙しいなかで情報共有を積極的におこなっていくのは難しいでしょう。特にベテラン社員の場合は、自身が長い時間をかけて習得した知識や技術を簡単には共有したくないというのが本音でしょう。

そのため、情報共有をする際にはインセンティブ制度を設けたり、社員の評価制度を設けたりといった工夫がナレッジマネジメントをおこなううえで重要になります。

機能が多すぎるツールだと使いにくい

最近では多くのナレッジマネジメントツールが登場しています。しかし、機能が多すぎるナレッジマネジメントツールだと社員が使いこなすことができず、ナレッジマネジメントを断念してしまうケースが多くあります。

そのため、最初からあまり機能の多いナレッジマネジメントツールを導入するのではなく、シンプルなナレッジマネジメントツールを導入することを検討しましょう。

まずは社内にナレッジマネジメントの考えを浸透させることが大切です。

音声や動画の活用も重要

暗黙知を形式知化する場合、マニュアルや資料だけにこだわらず音声や動画を活用するのも非常に重要です。

マニュアルや資料など文章の場合、人によって捉え方が異なる可能性があります。これだと、ナレッジマネジメントが社内に浸透しません。音声や動画を活用することで、視覚や聴覚でわかりやすく理解することができます。

出来る限り多くの社員に理解してもらうことが、ナレッジマネジメント浸透のポイントです。

暗黙知と形式知の違いを理解してナレッジマネジメントを活用しよう

本記事では、暗黙知と形式知の違いについて詳しく解説しました。

暗黙知を形式知化することは、企業全体の生産性をアップさせるためにも非常に重要です。形式知化によって日々の業務効率もアップできるので、社員のモチベーション維持にもつながるでしょう。

SECIモデルなども上手く活用することで、ナレッジマネジメントを効率的に進めることができます。ナレッジマネジメントの考え方が社内に浸透することによって、社内教育の効率化や企業の知識財産の保持にもつながります。

ぜひ本記事を参考に、暗黙知と形式知の違いをしっかりと理解して社内で効率よくナレッジマネジメントを活用してみてはいかがでしょうか。

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