【分野別】心理学のおすすめ本10選|初心者に役立つ教科書・教養書を厳選

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分野別心理学のおすすめ本10冊

みなさんは、心理学と聞いて何を思い浮かべますか?

心理学は英語では"psychology"と表されます。"psycho-"は「心」を意味する接頭辞、"-logy"は「~論」、「~学」、「~科学」を意味する接尾辞です。

つまり、心理学は「心に関する科学」「心に関する学問」と考えるのが単純で分かりやすいです。

とはいえ、あらためて「心とは何か?」と問われると答えに窮してしまうのではないでしょうか?

「心」に関する問題は、とても多岐に渡り、深く、一言で語り尽くせるようなものではありません。心理学には、幅広い分野をカバーするさまざまな学問領域があり、それぞれ特徴があるのです。

なので、いざ心理学を勉強しようとすると

 

「自分はどの分野に興味があるのだろう」

「どの本から始めると理解しやすいのかな」

 

など、とても迷いやすいもの。

そこでこの記事では、心理学を学び始めたい新入生や初心者に向けて、心理学のオススメ本を分野別にご紹介します。

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心理学全般を総論的におさえるためのおすすめ本2冊

まずは、「自分が興味がある心理学はどの分野なのか?」を知るためにおすすめの本を紹介します。

総論的な内容でありつつも、読破しようと思うとなかなか骨が折れるので、初心者はパラパラとめくって興味がある分野から目を通してみることをオススメします。

『心理学[新版]』無藤隆 他・著(有斐閣)

心理学全体を網羅的に解説しており、「心理学とはなにか」「心理学の全般」が理解できる一冊です。

大学の教科書として使用されるケースが多く、対象は学部1年生~です。

心理学の概説書としては『ヒルガードの心理学』が挙げられることが多いのですが、翻訳書特有の言い回しや具体例のニュアンスなど、必ずしも万人向けとは言いにくいです。その点、本書は日本人が日本人向けに書いた概説書ですので、より多くの人に読みやすい本です。

この本は、以下の4つのパートに分けられています(…以降は、そのパートで扱われるキーワード)。

第1部 心の仕組みと働き
 … 心理学とは何か、心と脳とは、感覚と知覚、記憶、学習、言語、思考

第2部 心のダイナミズム
 … 情動、動機づけ、性格、発達の基礎、認知と社会性

第3部 社会のなかの心
 … 社会のなかの心、人間と社会、社会的認知、自己、社会的影響、人間関係、集団・組織、規範

第4部 心の適応と臨床
 … 発達における個人差、発達の病理、心理・福祉・教育的援助、ストレスと心理的障害、カウンセリング、心理療法

心理学を専門としていくために、知っておきたい「共通言語」を知り、身に付けることができます。

たとえば、「社会的ジレンマ」「愛着行動」などの用語に対して、意味の説明だけではなくなぜその行動が起きるのかまで、素人でもわかりやすく解説してくれています。

詳細を一言一句追うのも良いですが、「心理学で扱う分野はこんなにも広いんだねー」と概要をつかんだり、わからない用語を調べる辞書的な使い方をするのが良いでしょう。

『ひと目でわかる 心のしくみとはたらき図鑑』小野良平・訳、黒木俊秀・監修(創元社)

『ひと目でわかる 心のしくみとはたらき図鑑』 は、イラストでわかりやすく解説されており「精神疾患」「治療法」に手厚いのが特徴的です。

この本も4つのパートに分けられています(…以降は、そのパートで扱われるキーワード)。

第1章 心理学とは何か?
 … 心理学の歴史、精神分析理論、行動主義的アプローチ、人間性心理学、認知心理学、生物学的心理学、脳と記憶と感情

第2章 さまざまな精神疾患
 … 精神疾患の診断、うつ病、双極性障害、パニック障害、閉所恐怖症、社交不安障害、分離不安障害、強迫性障害、ためこみ症、醜形恐怖症、抜毛症、心的外傷後ストレス障害、適応障害、注意欠如・多動症、自閉スペクトラム症、統合失調症、認知症、せん妄、ギャンブル障害、窃盗症、放火症、解離性同一症、離人感・現実感消失症、解離性健忘、神経性やせ症、神経性過食症、過食性障害、コミュニケーション障害群、睡眠障害、チック、パーソナリティ障害 など
 
第3章 心を癒すさまざまな治療法 心の健康と治療
 … 体と心の健康、治療の役割、精神力動的心理療法、精神分析療法、ユング派の治療法、自己心理学と対象関係論、認知療法・行動療法、認知処理療法、論理情動行動療法、マインドフルネス、人間性心理療法、人間中心療法(パーソンセンタード・セラピー)、現実療法(リアリティセラピー)、実存療法、ゲシュタルト療法、エモーション・フォーカスト・セラピー、EMDR、催眠療法、アニマルセラピー、システミック療法 など

第4章 実生活の中の心理学
 … アイデンティティ、パーソナリティ、自己実現、愛情、愛着、恋愛、教育、学習障害、チーム形成、リーダーシップ、組織文化とその変革、犯罪心理学、政治心理学、投票行動、服従と意思決定、消費者心理学、ブランディング、スポーツ心理学 など

シンプルなイラストと、要点がうまく整理されているため記憶にも残りやすく、楽しく心理学を学べる一冊です。

また、ひとつのテーマが見開き2ページでまとまっているので、めくって何回も確認したりする必要がなく、ストレスを感じることなく読み進められる本のつくりとなっています。

社会心理学のおすすめ本2冊

『社会心理学研究入門[補訂新版]』安藤清志 他・著(東京大学出版会)

『社会心理学研究入門[補訂新版]』 は、問題設定からレポート作成、留意点までを順を追ってわかりやすく解説している一冊です。

主に大学の講義の教科書・副読本として使用されているテキストで、この本を読めば「社会心理学の研究はどうおこなわれているのか」「社会心理学研究はどう発展してきたのか」が理解できます。

社会心理学を学ぶ上で、従来どのように研究がなされてきたのかを知ることはとても大切です。社会心理学の研究の流れと、論文などのさまざまな文献の読み込み方を知りたい人にオススメの一冊です。

『眠れなくなるほど面白い 図解 社会心理学』亀山達也・著(日本文芸社)

『眠れなくなるほど面白い 図解 社会心理学』 は、見開き2ページで構成されており、わかりやすいイラストを用いた図解を中心にまとめられています。

日常生活でも役に立つ心理学の知識がこの一冊に濃縮されており、また「囚人のジレンマ」「アイヒマン実験」など、どこかで聞いたことがある実験内容も説明されています。

この本を読むと「なにも知らない状態」でいたことが怖くなり「社会心理学を勉強しようかな」と考えさせられる一冊です。

あくまでも初心者向けなので、各事例や実験結果の詳細やメカニズムまでは言及されていません。原因などを深く知りたい人は専門的な本に進む必要があります。

教育心理学のおすすめ本2冊

『改訂版 たのしく学べる最新教育心理学:教職に関わるすべての人に』櫻井茂男・編(図書文化社)

『改訂版 たのしく学べる最新教育心理学』は、教科書に近い本であり一問一答形式の演習問題もあるため、自宅で気軽に「教育心理学」を学べる一冊です。

教育心理学の全体をおさえていて、説明もわかりやすい良書です。ただ、図解が少ないため初心者にとってはハードルが高く感じてしまうかもしれません。

この本のおすすめポイントは「障害児の心理」「特別支援教室について」など、他の入門書では扱われていないような内容もカバーされている点です。

教職を目指している方だけではなく、教育心理学に興味がある方も知識として無駄になることはないオススメです。

『幸せになる勇気 自己啓発の源流「アドラー」の教えII』岸見一郎 他・著(ダイヤモンド社)

大人気ベストセラーになったアドラー心理学『嫌われる勇気』の続編に当たる一冊です。

教育問場面で「親はどの立場でいればいいのか」「教育とはなんなのか」など、学校教員や子育てをしている人には心の刺さる内容です。

特に「承認欲求のやめに生きてしまうと、他人の人生を生きることになる」など、今までの自分自身の生き方や悩みもこの本で解決してくれるかもしれません。

この本を読むことによって、教育心理学を考えるきっかけにもなり、もっと奥深く知りたいと感じるようになる言葉が次々と書いてあります。

「教育心理学をしっかりと学ぶ」というよりも「教育心理学の体系を理解できる」一冊です。

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認知心理学のおすすめ本2冊

『認知心理学』箱田祐司 他・著(有斐閣)

認知心理学の基礎から最新の研究、用語解説などこの一冊で全てが理解できるのが有斐閣の『認知心理学』です。

認知心理学に特化した専門書なので初心者にはハードルが高いように感じられるかもしれません。しかし、網羅的でありながらも丁寧な解説が特徴で、大学によっては指定の教科書として利用されています。

有斐閣のNewLiberalArtsSelectionシリーズはどれをとってもおすすめ本に挙げたくなる良書ばかりなのですが、本書も例に漏れず手放しでおすすめできる一冊です。

心理学総論的な本と、認知心理学の各論的な本のあいだをうまく取り持ってくれる貴重な存在なのです。

『脳のはたらきのすべてがわかる本』ジョン・J・レイティ・著(角川書店)

原題は『A User's Guide to the Brain: Perception, Attention, and the Four Theatres of the Brain』、直訳すると「脳を知るためのユーザーガイド:知覚・注意と脳の4つの劇場」というタイトルのとおり、「脳神経科学が解き明かす脳の仕組み」について説明されています。

十章にわたって分けられており、基本的な構成としては、脳のある部位に障害がある患者さんの症状をベースに脳の機能を丁寧に説明していくスタイル。文章は上下二段の構成となっており、読書に慣れていない方にとっては、その分量に少し圧倒されてしまうかもしれません。

しかし、一度読み始めるとページをめくる手が止まらなくなるほどに内容はとても面白く、認知について脳の働きから知りたいひとにおすすめしたい一冊です。

発達心理学のおすすめ本2冊

『史上最強図解よくわかる発達心理学』林洋一・著作(ナツメ社)

『史上最強図解よくわかる発達心理学』は、発達心理学を基礎から学べる一冊です。

タイトルのとおりイラストベースの図解が豊富で、初心者の方でも読みやすい内容です。できるだけ専門用語を使わない解説が、読み手にとってやさしいです。

発達心理学の入門編としてはオススメなのですが、学問として発達心理学を学び深めるには少し物足りないでしょう。

本書の特徴として、胎児期・新生児期~幼児期~児童期~青年期~老年期と、人の成長を中心にトピックが進む点が挙げられます。特に「子どもの成長」に関しての記述が手厚く時系列的に解説されているので、心理学入門時のみならず子どもが生まれたあとも参考になる書籍です。

『手にとるように発達心理学がわかる本』小野寺敦子・著(かんき出版)

『手にとるように発達心理学がわかる本』は、発達心理学の基礎から応用まで段階を踏んで理解できる一冊です。

先ほどご紹介した『史上最強図解よくわかる発達心理学』は胎児期・新生児期~青年期にかけての発達を中心に解説していました。

本書も、人の誕生から死に至るまで広く対象とし、成長・発達にともなう心理的変化を説明しています。

愛着や愛情の形成理論の重要性、子供の思考や言語の発達なども書かれているので、育児にも利用できる応用力ある一冊です。

また、有名な発達心理学者エリク・H・エリクソンの発達理論にも触れています。

発達心理学を本格的に勉強したい方の導入書としてオススメです。

臨床心理学のおすすめ本2冊

『面白いほどよくわかる!臨床心理学』下山晴彦・著(西東社)

下山晴彦先生の著作としては、ミネルヴァ書房から出版されている『よくわかる臨床心理学 改訂新版』が有名かつ名著なのですが、入門としては本書の方が取っつきやすいです。

アセスメントの技法などの説明が見開きで終わるような構成になっており、わかりやすいイラストで理解を促す仕掛けも。

初心者にとっては非常に読みやすく、楽しく学ぶことができるにもかかわらず、臨床心理学の基礎について段階的に学習することができる良書です。

この本で臨床心理学の基礎を学び、次にご紹介する『臨床心理学』や同じ下山先生の『よくわかる臨床心理学 改訂新版』に進むと、より理解が深まるでしょう。

『臨床心理学』丹野義彦 他・著(有斐閣)

やはり有斐閣のNewLiberalArtsSelectionシリーズは入門書としてとても有効です。それは臨床心理学の分野でも同様。

この本は、臨床心理学の入門・基礎から専門的な知識まで学べる実用書として、複数の専門家によってまとめられた一冊です。

臨床心理学の中でも、認知行動療法などの「認知行動心理学」に関する記述が手厚い反面、SSTやアセスメントについてはあまり詳しく書かれていません。

しかし、臨床心理学を学び始めた人などにとっては単語の用語も簡単に牽引できるので、できれば物理本として手元に置いておきたい一冊です。

心理学のおすすめ本まとめ

学問を真剣に修めようと思ったら、専門書に足を踏み入れる必要があります。それは心理学においても同様です。

とはいえ、初学者・入門レベルの人にとって専門書を読破するのはとてもハードルが高いでしょう。まだまだ知らないことばかりという人はぜひ今回ご紹介した書籍を読破してみてください。読んだらすぐに専門書を読みこなせる…というわけではありませんが、着実に積み重ねた基礎は決して裏切りません。

また、初心者向けの本は中級レベルの人にとっても有意義です。なぜなら、自分の中で「なんとなく理解していたこと」「人にうまく説明できないこと」が明るみに出るからです。言い換えると、今回ご紹介した本の中に知らない単語などが多くある状態では、よりハイレベルな書籍を読んでも消化不良になってしまう可能性もあります。

徹底的に基礎を固める姿勢、それこそが心理学に入門する皆さんに求められる姿勢です。まずは肩肘張らずに、興味がある分野の入門書から手にとってみてください。

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