MOOCsは、オンラインで受講できるサービスの総称です。世界的に有名な大学の教員や有名企業の社員が講師を務めており、社会人や大学生から注目を集めています。そんなMOOCsの中でも、特に人気が加速しているのがCoursera(コーセラ)。
世界の一流大学や一流企業が提供している講座を、誰でも受講することができます。
コースによっては学位認定を受けられたり、就職・転職活動に有利になるものも。
今回は、
- これから機械学習(Machine Learning)・深層学習(Deep Learning)について学び始めたい
- これまでの学習内容を総ざらいし、足りない点を補ってスキルアップしたい
という方に向けて、Courseraで学べる機械学習・Deep Learning講座にフォーカスしてご紹介していきます。
今回ご紹介する講座は以下の4つです。
- Programming for Everybody (Getting Started with Python)
- 応用データサイエンス専門講座
- Machine Learning(機械学習専門講座)
- Deep Learning(ディープラーニング専門講座)
「そもそも、Courseraって何?」という方は、以下の記事もあわせてご覧ください。
【基礎】Programming for Everybody (Getting Started with Python)
本講座は、Pythonを用いたコンピュータのプログラミングの基本を誰にでもわかるようにすることを目的としています。ミシガン大学が提供しているコースです。このコースには受講制限・前提条件がなく、数学が苦手という方でも進められるようになっています。
コンピューターサイエンスの学習歴も問われません。もちろん、ある程度の経験・知識があればよりスピーディに受講を終えることもできます。本コースを修了することで、このあとご紹介する「Machine Learning」「Deep Learning」といったよりハイレベルなコースをスムーズに受講できるようになります。
平均的な学習時間はおよそ19時間。1日1時間の学習で、1か月もかからないうちに基礎固めを終えることができます。
修了時には修了証明書も発行できるのも嬉しいポイントです。
>> Programming for Everybody (Getting Started with Python)の詳細
【基礎~応用】応用データサイエンス専門講座
この講座は、IBMが提供している専門講座です。
Python文法やNumPy・Pandasの基本を学べる初歩的な内容から、Foursquare APIなどを学べる中級の内容まで、順を追って学べるようになっています。
この講座を受講すると、以下のような内容が身に付きます。
- Pythonの基本的な知識を身につける
- Pythonの実践的なスキルを身につけ、データ分析に活用する
- データビジュアライゼーションによるデータインサイトの効果的な伝達方法を修得する
- 応用データサイエンス技術とツールの理解を示すプロジェクトを作成できるようになる
これらの4つの内容は、それぞれ1週間単位で修了可能ですので、1か月程度の学習時間を見ておけば良いでしょう。テストや課題がセットになっており、それらをクリアすることで認定されます。
基礎編でご紹介した「Programming for Everybody (Getting Started with Python)」と、このあとご紹介する講座の橋渡しとして有用な講座です。
【応用~実践】Machine Learning(機械学習専門講座)
Courseraの設立者であるAndrew Ng氏の講義を受けられる、エンジニア業界でも人気が高い機械学習について学習できる特別講座です。
「Courseraといえばこの講座!」
と言っても過言ではないくらいにエンジニア界隈では有名で人気の高い講座です。
スタンフォード大学が提供してくれており、予測アルゴリズムや自然言語処理、統計パターン認識などを学ぶことができます。
この講座を受講すると、以下のようなことができるようになります。
- NumPyとscikit-learnでMLモデルを構築し、予測(線形、ロジスティック回帰)のための教師ありモデルを構築できるようになる
- TensorFlowでニューラルネットワークを構築・訓練し、マルチクラス分類を実行したり、決定木・アンサンブルメソッドが構築できたりするようになる
- 機械学習のベストプラクティスを適用し、クラスタリングと異常検出を含む教師なし学習のための技術を適用できるようになる
- ディープラーニング、深層強化学習のモデルを構築できるようになる
動画を視聴するだけでなく、課題やミニテストをクリアしなければ先に進めない構成になっているので、コースの難易度は高めになっています。
しかし、人気のあるコースのため対応言語には日本語も含まれていて、日本語字幕で受講することが可能です。何と言っても、無料で受講開始できる点が嬉しいポイント。受講後にはテストがあり、そのテストに合格すればLinkedInと連携できる修了証明書をもらえるメリットもあります(修了証の発行は有料)。
なお、ニューラルネットワークは対象ですが、ディープラーニングは対象外です。ディープラーニングについては、このあとご紹介する講座で学ぶとスムーズです。
>> Machine Learning(機械学習専門講座)の詳細
【応用~実践】Deep Learning(ディープラーニング専門講座)
こちらの講座も、先ほどの「Machine Learning(機械学習専門講座)」と同様にAndrew Ng氏が講師ですが、講座提供元はスタンフォード大学ではありません。
とはいえ、両講座は密接に関係しており、Machine Learning → Deep Learning(本講座)の順番で受講することで、体系的な知識習得・実践のためのスキルアップが実現します。
Deep Learning Specializationは、深層学習の能力、課題、および結果を理解し、最先端のAI技術の開発に参加できるようにするための基礎となるプログラムです。
この講座では、PythonとTensorFlowを使います。理論的な概念とその応用技術を習得し、音声認識やチャットボット、機械翻訳、自然言語処理などの実装に役立つスキルを身に付けることが可能です。
AIは多くの産業を変革していることは、言うまでもないでしょう。このコースを修了することで、AI開発の現場に身を投じる準備ができるのです。
受講すると、以下のようなことができるようになります。
- ニューラルネットワークの構築とトレーニング、ニューラルネットワークの実装、アプリケーションへのDeep Learningの適用
- Deep Learningアプリケーションを構築するためのテストセットの学習・開発、標準的なニューラルネットワークの使用、最適化アルゴリズムの適用、TensorFlowでのニューラルネットワークの実装のためのベストプラクティス習得
- Machine Learningにおけるエラーを減らすための戦略立案と、各種学習の適用
- 畳み込みニューラルネットワークの構築、画像・動画など2D/3Dデータへのアルゴリズム適用と生成
- リカレントニューラルネットワークとその派生型(GRU、LSTM)の構築と学習、リカレントニューラルネットワークの言語モデリングへの適用、自然言語処理の習得
>> Deep Learning(ディープラーニング専門講座)
(番外編1)Courseraならコンピューターサイエンスの学位(修士号)もとれる|例:イリノイ大学コンピューターサイエンス修士課程
Courseraでは、コンピューターサイエンスに関する修士号を取得できます。イリノイ大学もそのひとつです。
論文不要、完全オンラインで修士号を取得できるのが魅力的です。
学費は$21,440 USD。海外に留学することを考えると、決して高い金額ではないことが分かるのではないでしょうか。同じコンピューターサイエンス専攻でも、大学によっては $60,000 USD 程度かかるケースもあるようで、本講座がリリースされた当初はそのコストパフォーマンスの高さからも話題になりました。
ちなみに、イリノイ大学という名前の大学は3つあります。アーバナ・シャンペーン校(UIUC)、シカゴ校(UIC)、スプリングフィールド校(UIS)です。
Courseraで受講できるのは、この中のアーバナ・シャンペーン校(UIUC)のコンピューターサイエンス専攻です。詳細なカリキュラムは、こちらのPDFファイルで確認できます。
UIUCのコンピュータサイエンスは歴史が長く、アメリカ合衆国においてもトップクラスに評判が高いのです。
Courseraでは以下2つのコースを提供しています。
- Master of Computer Science (MCS)
- Master of Computer Science in Data Science (MCS-DS)
両者の違いを簡単に述べると、どちらもコンピューターサイエンスに関する専門知識を学べるのは変わりないのですが、Master of Computer Science in Data Science (MCS-DS)の方がデータサイエンスに特化している分、統計学などの講義を多く受講する必要があります。
自身の今後のキャリアを見据えて、必要そうなコースを選択しましょう。どちらの専攻も以下のリンク先から詳細を確認できます。
>> イリノイ大学のコンピューターサイエンス修士号コースの詳細
(番外編2)Googleプロフェッショナル認定もオススメ
Courseraには無料のコースが数多くあり、クオリティの高い講座を無料で受講できます。
しかし、有料コースの受講を完了することで入手できる「プロフェッショナル認定」にはメリットがたくさんあり、スキルアップ以上の価値を求めている方々にとって、大きな味方になってくれます。
そんなプロフェッショナル認定コースの中には、Googleが提供するコースが複数あります。
優秀なGoogle社員が講師として登場するため、非常に品質の高い講座です。それでいて、平易な英語で解説してくれるので、英語に自信がない方でも完走しやすいコース。
Googleの「プロフェッショナル認定コース」には、以下のようなものがあるので、興味がある方はご覧ください。
おすすめ|Google公式講座
Courseraで機械学習・Deep Learningのコースを受講するメリット
Courseraを活用する最大のメリットは、オンラインで学習できることです。しかし、それ以外にもたくさんのメリットがあります。
一流大学が展開する講座なので、体系的な学習ができる
今回ご紹介した講座はいずれも、世界の一流大学や一流企業が提供している講座です。
つまり、彼らの威信にかけて、その内容はハイクオリティなものに仕上がっています。
今日・明日しか役に立たない知識・スキルではなく、本質的な理解のために練りに練られたカリキュラムとなっているため、体系的・効率的な学習ができます。
ひとつずつ丁寧に学習を重ねていくことで、実践で役に立つ実力を確実に身に付けられます。
コストパフォーマンスバランスに優れる
Courseraで機械学習・Deep Learningを学ぶのは、コストパフォーマンスに優れています。
AI技術を学べるプログラミングスクールはもちろんたくさんありますが、その費用は非常に高く数十万円程度は覚悟する必要があります。
場合によっては、80万円~100万円程度学費がかかるケースもあります。
その点、Courseraの場合は月額 $49 USD 程度で済みます。たとえば、1年かけて完走したとしても $588 USD です。
カリキュラムを早く進めれば進めるほど、それだけ多くコストを節約できるということでもあります。
圧倒的にコストパフォーマンスバランスが良いことが分かるかと思います。
大学の単位として認められる場合もある
Courseraで取得した修了証明書が大学の単位や学位として認定されたり、海外の大学を実際に卒業した資格と同等として扱われたりする場合もあります。
今回ご紹介したイリノイ大学の講座も、コンピューターサイエンスの修士号を取得するできるもの。その他にも数多くの学位認定・単位認定がなされるコースが用意されているので、自分が伸ばしたい分野・憧れの大学の講座を受講してみてはいかがでしょうか?
なお、Courseraでの受講履歴を大学の単位に変換するためには、業界標準であるACE®️ 推奨事項を満たしている必要があります。この推奨事項を受け入れるかどうかの決定は各大学に委ねられているので、保証されるものではない点に注意しましょう。
まとめ
専門的なスキルが必要とされる機械学習・Deep Learning。AIの社会浸透を受けて、今後もますます需要が高まることが見通されます。
Courseraは世界水準の高品質な講座を、コストパフォーマンス良く受講できるのが魅力です。
じっくりと腰を据えて取り組むもよし、短期集中型でスキル固めをするもよし、オンライン学習ならではの自由度で各自のペースで学びを深めてください。
まずは、気になった講座の詳細を確認してみてください。ちなみに、多くの場合7日間無料体験ができます。
本当に学習を進められるか不安・・・
という方も安心してスタートを切れますので、まずはお試しください。
- Programming for Everybody (Getting Started with Python)
- 応用データサイエンス専門講座
- Machine Learning(機械学習専門講座)
- Deep Learning(ディープラーニング専門講座)
Pythonやデータ分析関連では、Googleが展開するプロフェッショナル認定コースもオススメです。
複数の講座が用意されているので、気になる講座を無料体験してみてはいかがでしょうか。